環境部

環境に配慮した社会資本整備

 近年の社会資本整備や技術開発により、人間の生活は物質的に豊かで便利なものとなりました。一方、私達のこの便利な生活は、時には人類が豊かに生存し続けるための基盤となる地球環境の悪化をもたらしており、地球上の生物多様性が失われつつあります。子供たちや野生生物が、この地球上で生き生きと暮らしていくためには、現在地球上で生活している私達が、環境を健全に守っていくことが大切です。
 当部では、今後も整備・維持が必要な社会資本整備を通して、環境影響評価、自然環境調査、生活環境調査などに従事し、自然環境との共生を図りながら公害の未然防止など健康で豊かな生活環境を提供できるよう、多様な専門技術者を揃えて、技術の向上、最新情報の収集・整理に励むほか、地域住民との合意形成などに取り組んでいきます。

事業分野

開発事業に係わる環境影響評価
自然環境調査
自然環境の保全対策検討
道路防雪林・緑化などの育成・管理計画の検討
多自然川づくり・自然再生計画の検討
大気、騒音、振動、水質などの調査、予測、対策検討
地域住民との協働・環境学習

開発事業に係わる環境影響評価

 環境影響評価とは、社会資本整備など開発事業の内容を決めるに当たって、事業による環境影響について、事業実施前に調査、予測・評価、保全措置の検討を行い、その結果を公表して、環境保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていく制度です。
 環境影響評価を効率的・効果的に実施するために、当部はそれぞれの事業の特性、地域の環境を踏まえ、異分野技術と連携しながら、最新の技術・知見を活かした提案を行います。

オジロワシ(天然記念物)

自然環境調査

 当部では、計画・設計段階において、植物・鳥類・魚類など様々な分野に精通した専門技術者が現地調査を実施し、事業による直接的な影響(消失、減少)や間接的な影響(採餌環境や生育・生息の基盤など)を受ける可能性のある希少生物などの生育・生息状況を把握します。
 また、河川水辺の国勢調査などでは、調査結果を解析して河川やダム環境の維持管理や保全のための課題なども提案しています。

魚類調査(投網)の状況

自然環境の保全対策検討

 事業による影響があると評価された場合、自然環境への影響の回避・最小化・低減、一度消失した自然環境の回復・復元などの保全対策を検討します。
 保全対策では、希少生物の移植、希少猛禽類の事業段階に応じた工事への馴化、供用後のロードキル対策などを検討し、事業と自然環境との共生を実現していきます。

道路防雪林・緑化の育成・管理計画の検討

 道路防雪林は冬季間の交通安全対策の一つとして、吹きだまりの防止や視程障害を緩和します。また、街路樹等の道路緑化は、良好な景観や自然豊かな道路空間を構成する要素となります。
 当部では、道路防雪林や街路樹の植栽設計、維持・育成の管理計画を策定しています。

道路防雪林

多自然川づくり・自然再生計画の検討

 近年、河川が本来有している生物の生息・生育環境や多様な河川景観の保全・創出を目的とした「多自然川づくり」、過去に消失した生態系など自然環境の再生を目的とした「自然再生推進法の施行」等により、国民の自然環境への関心が高まっています。
 当部でも、河川、湿原、干潟、里山・里地、森林などの自然環境の保全、再生、創出、又は維持管理への有益な提案を行っています。

UAVの活用

 道路事業における改変箇所の事前把握、河川事業における河川環境の経年変化の把握など、多くの現場でUAVを活用して業務に従事しています。
 特に平成28年8月の北海道豪雨災害による河川環境への影響把握では、UAVを活用して河川生物の基盤となる河道の変化状況を整理しています。

UAVにより撮影した河道の状況

大気、騒音・振動、水質、土壌汚染等の調査、予測、対策検討

 大気汚染、騒音・振動、水質汚濁などの生活環境は、近年環境基準も達成されつつあります。しかし、都市部では自動車交通などによる騒音や大気汚染、湖沼などの閉鎖水域における水質汚濁(窒素、りんの富栄養化など)、土壌汚染などで基準が未達成の箇所も存在します。
 各種事業の実施に当たり公害の未然防止の検討は今後も重要な課題であると考えられることから、当部では最新の知見に基づいた大気汚染、騒音・振動などの予測・評価、保全対策の検討を行っています。

道路交通騒音の予測(等音分布図の作成)

地域住民との協働・環境学習

 当部では、保全対策の一環として、地域住民との協働により、植樹会、川づくりのためのワークショップ、特定外来生物(オオハンゴンソウ)の防除などに取り組み、事業による地域住民との合意形成を促進しています。

小学校の植樹会

地域住民とのオオハンゴンソウの防除会